飴のことば遊び

語学や旅のこと、やったことや思ったことを書いています。

『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』を読んだよ

ちょっと関係ない話から入るんですが、鳥取市にですね、定有堂書店という本屋さんがありまして。

 

 

ブルータスだかダビンチだかの本屋特集でも紹介された、知る人ぞ知る本屋らしいんですが、そこに行ってみたんです。

見た目は昔からある街の本屋さんて感じで、中に入ったらなんとも言えない飾り付けがたくさんしてあって。おしゃれじゃないんですけど、ちょっとおもしろくて。

 

パッと見、普通の品揃えかと思いきや、むしろ、恐らくですが品揃えは少ないんです。

 

面陳(表紙が見えるように棚に置くこと)してある本が沢山あって、本の内容ごとにコーナーが分かれてるんですよ。もしや、これ全部読んだ上で選ばれた本たち…?って感じでした。真相はわからないんですが。でも漫画はかなり絞られてたお思います。

 

こんな本屋さんが長いこと続いているという事実にちょっと嬉しさを覚えて、正直文化的なものってあんまりない(知らないだけなのかもだけどね)ところだと思っていたので嬉しかったわけです。おシャレな本屋とは全く違うけど、「この本面白そう」ってなぜか思わせてくれる力がありました。 

で、そこでこんな本を見つけました。

 

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

 

 

地方創生が掲げられて四年くらいでしょうか。

地方に移住したり、Uターンしたり、したかったりする人が増えていると思います。

 

この著者は、地方創生が始まる前に飛騨古川に移住した、いわば先駆者。

 

 

この山田 拓さんという方は、外資コンサルでアメリカ勤務をした後、スポンサーをつけて奥さんと一緒に世界一周をして、フランスのコンサルで働いて、それから縁もゆかりもなかった飛騨古川に移住して、そこでサイクリングツアー会社を始めて、いろんな事業を今はやっている人。すごい経歴。笑

 

ブログのタイトルみたいな本ですよね。

実際に、世界一周をしていた時にブログも運営していらっしゃったとのこと(2007年に世界一周が終わった時に、ブログの更新は終わっています)

 

本の内容は、前半は飛騨古川への移住、欧米からのインバウンドの観光客を増やすべく奮闘し、ツアー会社を始めるまでや運営を軌道に載せるまでの話で後半は飛騨古川、田舎に住むことについて、地域経営についてなどが書いてあります。

 

前半は、特に細かく描いてあるわけじゃないんです。ただ、こういうことがあって、こう考えてこうして、ということをただただ書き下されている印象なんですが、だーーーーーっと書いてるだけでこの内容はすごいなと。話を膨らませる、というか文章のボリュームを増やそうという気概は全く感じられないけど、中身はちゃんとあるんです。特に分量は多くなくて、無駄のない内容といいますか。

 

もともとコンサルをしていた方ということで、やはり、やること全てについて、目的に合わせて、方法がしっかりとついて来るという印象でした。とりあえずやってみる、ではなくて実現するための手段というか条件を考えて、実行する。

 当たり前だけど、難しいことです。とくに地方を観光地化する、と考えたとき、全く同じ条件のところはないんだから、ただ他のところの真似をしても無理ですもんね。また、どうやって他の地域とは違う特徴をつけるかというは重要だと思います。日本のそれぞれの地域に特色があって面白いと思うんですが、「他とどう違うか」「どう優れているから訪れるべきか」をはっきりさせるのは難しいのではないでしょうか。日本は小さな国なので、どこの地域も似通った雰囲気になりがち・思いがちです。でも日本人の目線からだと、ただの田舎でしかないところを、外国人ならどう感じるか、また感じてもらうための手段(この場合はツアー)はなんなのか、という外部の目線が”クール“なものを作ったのだと思います。飛騨古川は素晴らしい素材があったのだけど、それだけでは人は来ない。クールさとか魅力とかって、誰かが気づいて、演出して、初めて存在できるものなのだと感じました。

 

この一年くらいで、私は「情熱」が人を動かすということを感じるようになったんですが、その「情熱」って別に外から来た人でも持ち得るんですね。

 

 

9月には自民党総裁選ということで、鳥取選出の石破さんが地方創生を中心にすることを掲げています。基本的には地方を元気にする政策は賛成です。でも今までのやり方で、国はお金を落としているけれど、それに見合った効果は出てるんでしょうか。出てないでしょうって言いたいのではなく、本気で知らないんです。私が聞きかじった内では、お金は中央から降りて来ても、ノウハウもないし、なかなか人は定着しないし、みたいな話しかなかったんです。でもきっといい感じに進んでいる成功例も

本にもあったのですが、地方の大きな問題は「人材不足」だと思います。だって、不便で給料もあんまり高くないところに、あえて住むっていのは何かしらの理由が要ります。

地元愛とかだけじゃ、不便さも給料も乗り越えられないです。“地元愛”だけじゃない、地域の価値をつくる必要があるということだと思いました。

 

この話はちょっと興味があるので、もっと勉強してみたいなあ。